2025年度入試の千葉県の数学は、大問1の小問だけで51点分ありました。100点満点の半分を、計算と独立した小問が占めていたことになります。
数学が苦手なお子さんの保護者は、「この子は図形も関数も全部ダメだから」と考えがちです。ところが、点数の付き方を見ると、苦手な子がまず取り返すべき場所はかなりはっきりしています。今日(2026年10月20日)から学力検査(2027年2月16日)までは119日、約17週間です。全部を均等に直す時間はありませんが、順番を決めれば間に合う範囲はあります。
先に結論を書くと、数学が苦手な子の「拾い方」は、基礎に絞る・関数と図形の前半まで広げる・差がつく問題まで狙う、の3つから選びます。選ぶ基準は「今の得点」ではなく、「直近の過去問や模試で、大問1をどれだけ取りこぼしているか」です。この記事では、3つの狙い方の向き不向き、大問ごとの拾う・後回しにする判断、苦手の原因別の戻り先、学び方の手段の比べ方、11月末までの進め方を順に整理します。
千葉県の数学は、どこに点が集まっているか
まず、点数の置かれ方を確認します。令和9年度入試の数学は、50分・100点満点です。出題方針は県教育委員会が2026年7月15日に発表していて、基礎的・基本的な知識・技能の定着をみることと、論理的に考察する力や表現する力をみることが並んでいます。ただし、この発表には大問ごとの配点や解答形式は書かれていません。
大問ごとの配点は、前年度までの講評で確認できる範囲で見ます。2025年度入試の講評(リセマム掲載)では、構成は次のとおりです。
2025年度入試の大問構成(講評記事による。令和9年度も同じとは限りません)
- 大問1:計算問題・独立小問集合(15問、51点)
- 大問2:関数(3問、15点)
- 大問3:平面図形(3問、16点)
- 大問4:融合問題(6問、18点)
この講評では、解答はほとんどがマークシート式で、作図と図形の証明(穴埋めと記述)は例年出ていると書かれています。また、差がつきやすい問題として挙げられていたのは、大問1の一部、大問2の(3)、大問3の(3)、大問4の(4)〜(6)の計8問でした。つまり、小問番号が後ろになるほど難しく、点を取り合っているのは主に後ろの小問です。
これが苦手な子にとって意味するのは、大問1と、大問2・3の前半の小問だけで、構成上は相当な点数になるということです。大問2〜4の最後の小問を落としても、そこに届く前の小問を拾えば、数学は半分を大きく超えられる計算になります。
ここで一つ注意があります。この構成は2025年度のものです。2026年度の問題や、令和9年度の構成は、県の発表だけでは確認できませんでした。受験する年の構成は、必ず直近の過去問を見て確かめてください(過去問の入手と使い方は、下の記事にまとめています)。
→ 千葉県公立入試の過去問はいつから?今日から2月までの時期別の進め方
塾や学校の補習だけでなく、通塾以外の選択肢も含めて早めに比べておきたい方は、千葉県に対応している家庭教師を無料で比べられるサービスもあります。
3つの狙い方を並べて比べる
苦手な子の数学は、「どこまで取りに行くか」を先に決めます。決めないまま全範囲を触ると、どれも中途半端になります。狙い方は大きく3つです。
A 大問1を固めて、基礎の取りこぼしをなくす
- 狙い:計算、方程式、平方根、確率、データなど、大問1の基礎を落とさない
- 向いている子:大問1で5問以上落としている、計算ミスが多い、単元の穴が複数ある
- 向かない子:大問1はほぼ取れていて、関数・図形で点が止まっている
- 利点:配点の大きい場所なので、1問直すごとの得点効果が大きく、勉強の手応えも出やすい
- 弱点:これだけでは、志望校によっては点が足りない可能性がある
B 大問1に加えて、関数と平面図形の前半まで広げる
- 狙い:大問2・3の(1)(2)にあたる小問を確実に取る。後ろの小問は時間が余ったら解く
- 向いている子:大問1は7〜8割取れている。y=ax²の座標や、相似の基本は理解している
- 向かない子:大問1でまだ大きく落としている。先にAへ戻したほうがよい
- 利点:多くの受験生が取る小問を取れるようになり、平均より下から平均付近まで戻しやすい
- 弱点:図形の証明は、書き方の型を覚える時間が別に必要
C 融合問題や差がつく問題まで狙う
- 狙い:大問4の後半や、大問2・3の最後の小問まで手を伸ばす
- 向いている子:大問1〜3の前半をほぼ落とさず、時間が余っているのに得点が伸びない
- 向かない子:苦手と感じている子の大半。基礎が不安定なうちに難問へ時間を使うと、取れるはずの点が減る
この3つのうち、「数学が苦手」と感じているご家庭の多くはAかBです。Cは、AとBが安定してから足すものと考えて問題ありません。
どれを選ぶかの判断基準
お子さんの直近の過去問、または最新のVもぎ・Sもぎの数学を、大問ごとに見直します。見るのは次の3点だけです。
- 大問1で間違えた問題は何問か。その原因は「知らなかった」のか「計算を間違えた」のか
- 大問2・3の(1)(2)で落とした問題があるか
- 最後まで解き終えたか、時間切れで手を付けていない問題があるか
大問1で落としている数が多ければA、大問1は安定して大問2・3の前半を落としているならB、時間切れもなく前半もほぼ取れているならCの入口、という見方です。具体的な基準の数字(何問以内ならB、など)は目安としての話で、志望校の合格ラインによって変わります。志望校の選抜方法(調査書と学力検査の比率など)は、県の公表資料で確認してください。
大問ごとに「拾う」「後回しにする」を決める
「捨てる」と言うと、最初から白紙にするように聞こえますが、実際は先に取れる問題を取ってから戻る、という順番の話です。本番で落ち着いて動けるように、大問ごとに考えておきます。
大問1(計算・独立小問):全部拾う
- ここは後回しにしない。配点が大きく、ほとんどが基礎の問題
- 講評では、1問目の誤りが次の問題にも響く「誘導問題」が大問1にあったと書かれている。最初の計算を丁寧に取ることが、後ろの問題を守ることにもなる
- データ(四分位範囲と箱ひげ図など)は近年よく出ている。ここを苦手のまま残さない
大問2(関数):(1)(2)は拾う、最後の小問は余力で
- 座標を求める、式を求めるといった基本は拾う
- 最後の小問は、面積や条件がからむ。解けそうなら進み、2分考えて手が動かなければ印を付けて次へ進む
大問3(平面図形):作図・証明の型は拾う
- 作図と、証明の穴埋めは、型を覚えれば取れる問題。苦手な子ほど、ここに時間を使う価値がある
- 最後の小問は、相似比だけで押すと時間がかかる問題があった、と講評にある。面積比に気づけば短くなるが、気づかなければ後回しにしてよい
大問4(融合問題):前半の小問まで
- 講評では、(4)以降は与えられた条件を整理して使えないと難しい、とされている。苦手な子は(1)〜(3)を確実に取り、(4)以降は残り時間で
- 50分の使い方は、目安として「大問1に15〜20分、大問2・3に各10分前後、大問4と見直しに残り」くらいを過去問で試し、自分に合う配分を作る
上の時間配分は、苦手な子が大問1で焦って時間を使いすぎないための試案です。実際の配分は、過去問を50分で解いてみて、お子さんに合わせて調整してください。
ここまでを家庭だけで進めるのが難しい場合は、どこで点が落ちているかを見てくれる先生がいるだけで、直すべき順番がずっと早く決まります。そういう意味で、千葉県に対応している家庭教師の料金を、無料で比べておくと、通塾が難しい場合の選択肢を持った状態で11月に入れます。
苦手の原因で、戻る場所が変わる
同じ「数学が苦手」でも、原因によって、最初にやることは違います。次の3タイプで考えます。
タイプ1 計算や符号のミスが多い
考え方は分かっているのに、符号や展開で間違える子です。大問1の取りこぼしの大半がこれなら、新しい単元を勉強するより、毎日10分の計算練習と、間違えた計算の「どこで間違えたか」を印を付けて残すことが先です。家庭学習で足りることが多いタイプです。
タイプ2 特定の単元が抜けている
一次関数、図形の合同・相似、確率など、特定の単元だけ理解が止まっている子です。つまずいた単元が中1・中2の内容なら、中3の問題集を解いても進みません。その単元の最初の説明に戻る必要があります。戻る先が自分でわからないときは、診断を人に頼むのが近道です。
タイプ3 問題文の条件を整理できない
計算はできるのに、文章題や融合問題になると手が止まる子です。ジャンプして難問に挑む前に、条件に線を引く、図に書き込む、という手順を癖にします。ここは「解き方を説明してもらう」経験が効くので、一人で悩み続けるより、質問できる相手がいるほうが進みます。
定期テストでは取れるのに模試で伸びない場合は、別の原因が混ざっていることもあります。そちらは次の記事で整理しています。
→ 定期テストは取れるのにVもぎで点が出ない中3へ。千葉の原因と対策
- 大問1で落とした原因が、計算ミスか単元の穴か、家庭では見分けがつかない
- 中1・中2の単元に戻る必要がありそうだが、どこまで戻るか決められない
- 部活や学校の予定で、通塾の時間が週に何日もは取れない
- 集団授業のペースが速く、質問する前に次へ進んでしまう
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学び方の手段を、数学の苦手という視点で比べる
家庭学習だけで難しいと感じたとき、手段は主に4つです。冬期講習を含めた比べ方は別の記事で書いたので、ここでは「数学が苦手な子」に絞って整理します。
家庭学習+過去問・問題集
- 向く子:原因が計算ミス中心で、自分で見直しができる
- 向かない子:どこが分からないのかが分からない
- 注意点:間違いの理由を説明してくれる人がいないと、同じ誤りが残る
集団塾
- 向く子:授業のペースについていけて、周りの様子が刺激になる
- 向かない子:単元の穴が深く、授業中に質問できない
- 注意点:進度が決まっているため、戻る範囲が授業に合わないことがある
個別指導塾
- 向く子:教室に通う習慣が作れ、講師との相性が合う
- 向かない子:通塾時間が取れない、担当講師の質にばらつきがあるのが不安
- 注意点:1対2や1対3の形式の違いは、別の記事で整理している
家庭教師
- 向く子:苦手な単元だけを戻りたい、学校の進度や内申対策に合わせたい、通塾の時間が取れない、集団のペースが合わない
- 向かない子:自宅に先生を迎えること自体が負担になる、費用の総額を抑えたい
- 注意点:会社や講師で質が違うため、料金の内訳、講師の選び方、交代の条件を事前に比べる
数学が苦手な子の場合、「どの単元に戻るか」を診断してもらえるかどうかが最大の違いです。塾でも家庭教師でも、最初の面談や体験で、お子さんの答案を見て「ここが原因です」と説明してくれるかを確認してください。
今日から11月末までの進め方
11月末までの約6週間を、3つの区切りで考えます。
10月20日〜10月末(約10日):診断
- 直近の過去問、または最新の模試の数学を、大問ごとに見直し、取りこぼしを3つの狙い方(A・B・C)のどれに当たるか判断する
- 落とした小問の原因を「計算ミス」「単元の穴」「条件整理」に分ける
- 家庭だけで原因を判断できないなら、体験授業や資料請求を使う
11月第1週〜第3週:土台を直す
- Aなら、大問1の基礎問題を毎日解く。間違えた問題は翌日にもう一度
- Bなら、大問1の維持に加えて、関数・平面図形の基本の小問を型ごとに練習する
- 11月に学校の定期テストがある場合は、その範囲も優先する。調査書の評定にも関わるため、模試対策と競合する時期は学校のテストを先にする
11月第4週〜11月末:50分で通して解く
- 過去問を1年分、50分で解き、「拾う・後回し」の判断どおり動けたかを振り返る
- 時間切れになった大問と、焦って落とした小問を書き出す
- 12月からは、数学の単元学習が終わる時期を目安に、過去問を回数を増やして解く段階に入る
「間に合うか」が気になる場合は、模試の判定より、大問1を落とす数が11月末までに減っているかを見てください。点数の変動は模試の難易度の影響を受けますが、大問1の取りこぼしは、練習した成果が出やすい指標です。
年内に決めておくこと
千葉県公立入試は、志願者情報の登録が2027年1月12日(火)から始まります。今日から登録開始までは84日、学力検査までは119日です。数学の対策を外部に頼むなら、12月に入ってから探し始めると、希望の曜日や講師がすでに埋まっている可能性があります。冬休みに入る前に体制を整えるなら、11月中に資料を比べて動いておくのが現実的です。
家庭教師は、会社によって月謝・入会金・教材費の有無、講師の層、千葉県公立入試や内申点への対応が大きく違います。先に資料をそろえて、同じ項目で見比べてから話を聞くのが、失敗しない近道です。
資料が届いたら確認したいこと
- 月謝のほかにかかる費用(入会金・教材費・交通費)と、入試までの総額
- 最初の面談や体験で、答案を見て「どの単元に戻るか」を説明してもらえるか
- 千葉県の公立入試の数学(大問構成や過去問)に合わせた進め方をしているか
- 講師が合わなかったとき、無料で交代できるか
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まとめ
- 2025年度入試の数学は、大問1だけで51点分。苦手な子は、まず大問1の取りこぼしを減らすのが最も効率がよい(令和9年度の構成は過去問で確認する)
- 狙い方は「A:大問1に絞る」「B:関数・図形の前半まで広げる」「C:差がつく問題まで狙う」。多くの苦手な子はAかBから始める
- 「捨てる」とは、白紙にすることではなく、取れる問題を先に取って、難しい小問は後回しにすること
- 苦手の原因は「計算ミス」「単元の穴」「条件整理」の3つ。原因によって、家庭で足りるか、外の力が要るかが変わる
- 11月末までに、診断→土台→50分で通して解く、の順に進め、大問1の取りこぼしの数で進み具合を見る
今日できることは、直近の数学の答案を大問ごとに見て、落とした小問に印を付けることです。印の付いた小問が、お子さんにとってのA・B・Cのどれに当たるかが分かれば、残りの119日の使い方が決まります。
出典:千葉県教育委員会「令和9年度千葉県公立高等学校入学者選抜における学力検査の実施教科及び出題方針等について」(2026年10月20日確認)
出典:リセマム「【高校受験2025】千葉県公立高校入試・数学の講評」(2026年10月20日確認。2025年度入試の大問構成・配点はこの講評による)
参考:受験ラボ「千葉県の高校受験対策」(2026年10月20日確認)






